特別受益に当たる贈与を確認する
共同相続人が受けた遺贈や、婚姻・養子縁組・生計の資本のための贈与は、特別受益として問題になることがあります。住宅取得資金、事業資金なども、金額、目的、家族の資産や生活状況から具体的に検討します。
通常の扶養や生活費の援助が常に特別受益になるわけではありません。贈与を受けた事実があるか、貸付けだったか、誰のために使われたかも争点になります。相手の申告だけでなく、送金記録、契約書、財産取得の経緯を確認しましょう。
持戻しと被相続人の意思
特別受益を相続分へ反映させるため、対象となる贈与等を踏まえて計算することを持戻しと呼びます。被相続人が持戻しを免除する意思を示していたかも確認します。計算上の調整と、贈与された財産を物理的に返すことは同じではありません。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産が贈与・遺贈された場合、持戻し免除の意思を推定する規定があります。遺留分の計算は別のルールであり、持戻し免除があるだけであらゆる請求がなくなるわけではありません。
10年経過後の分割と資料の保存
相続開始から10年経過後の遺産分割では、原則として特別受益・寄与分を考慮しません。期間内の家庭裁判所への分割請求等の例外や、施行前の相続への経過措置があるため、死亡日と手続きの開始日を確認します。
10年で遺産分割そのものが禁止される制度ではありません。長期化している場合は、いつまでに何をする必要があるかを先に整理します。贈与の日時・金額・目的を一覧にし、その裏付けを早めに確保しましょう。
相談前に整理すると役立つ資料
- 被相続人・相続人の戸籍、家族関係と死亡日のメモ
- 遺言書、保管や公証に関する資料
- 預金・証券・保険・不動産・借金の一覧と資料
- 贈与、介護、協議・調停、登記の経緯が分かる資料
経緯、希望する解決、相手方の主張を日付順にまとめると、争点を整理しやすくなります。資料がすべてそろう前でもご相談ください。裁判所や契約上の期限がある場合は、その書類と日付を先にお知らせください。
よくあるご質問
親から受けた援助はすべて特別受益ですか。
援助の目的・額・生活状況などによります。通常の扶養と、婚姻や生計の資本のための贈与などを区別して検討します。
10年を過ぎると遺産分割はできませんか。
分割自体はできます。特別受益・寄与分を原則考慮しないルールの適用と、例外・経過措置が問題になります。
資料が全部そろっていなくても相談できますか。
お手元の資料と経緯から、不足する情報と次の対応を整理します。期限が迫る書類がある場合は、その日付を先にお知らせください。
話し合い中なら請求期限は止まりますか。
話し合いだけで当然に止まるわけではありません。請求の種類、起算点、時効の猶予・更新等の要件を確認します。
根拠法令・公的資料
法令・制度の確認日:2026年10月11日。契約・相続・事故・訴訟の時期や経過措置、具体的な事情により適用が異なります。