番町中央法律事務所

建売住宅・購入した建物の欠陥と契約不適合責任

建売住宅や中古住宅の購入では、売買契約の内容と説明・告知を確認します。契約不適合の有無、売主の属性、特約、通知期限と新築住宅の特則を整理します。

購入した住宅・建物に欠陥があったとき

建売住宅、分譲マンション、中古住宅などを購入し、雨漏り、構造上の不具合、約束された設備の不足などが見つかった場合は、まず売買契約に基づく売主の責任を検討します。現行民法では、引き渡された建物が契約で約束された種類・品質・数量に適合していない場合の責任を「契約不適合責任」といいます。

施工会社や仲介業者に相談している場合でも、売買契約の相手である売主が誰かを確認することが重要です。施工会社・仲介業者に対する別の請求が可能かは、それぞれの契約関係や行為に応じて検討します。

本ページは、原則として2020年4月1日以降に締結した売買契約を対象とします。それ以前の契約は、経過措置により旧法の瑕疵担保責任が適用される場合があるため、契約日を確認する必要があります。

参考:民法562条〜566条・改正法の経過措置

参考:法務省:債権法改正について

契約不適合に当たるかの判断

不具合があるだけで、直ちに売主の責任が決まるわけではありません。売買契約書、重要事項説明書、図面、仕様書、広告、売主の説明、物件状況の告知などを確認し、契約でどのような品質・性能が約束されていたかを検討します。

  • 居住用住宅で雨漏りが生じ、契約で予定された使用に支障がある
  • 耐震性能や建物の仕様が、契約で約束された内容と異なる
  • 備え付けられるはずの設備がない、又は使用できない

中古住宅では、築年数、劣化の程度、説明された不具合、修繕履歴、合意した現況なども重要です。「隠れた欠陥」であることが独立の要件だった旧法の説明を、そのまま現行法に当てはめることはできません。

参考:国土交通省:民法改正に関するパンフレット

売主に求められる主な対応

修補などの履行の追完

契約内容に適合する状態にするため、修補などを請求できます。売主は、買主に不相当な負担を課さない場合には、買主が求めた方法とは異なる追完方法を選べることがあります。買主の責めに帰すべき事由による不適合については、追完を請求できません。

代金の減額

原則として、相当な期間を定めて追完を求め、その期間内に対応がない場合に、不適合の程度に応じた代金減額を請求できます。追完が不可能な場合や売主が明確に拒否した場合など、催告なしに請求できる例外もあります。買主側に帰責事由がある場合は請求できません。

損害賠償

売主に帰責事由があるなど、民法415条の要件を満たす場合は、修補費用などの損害賠償を検討します。どの損害を請求できるかは、欠陥との因果関係や民法416条の範囲などによって判断します。現行法の説明として、損害賠償を一律に「信頼利益だけ」に限定するのは適切ではありません。

契約の解除

修補等を求めても対応がない場合など、民法541条・542条の要件を満たすときは、解除を検討できます。催告による解除では、不履行が契約や取引上の社会通念に照らして軽微な場合には解除できません。買主側の帰責事由による不履行については、解除できません。

これらを常に自由に選択したり、同じ損害について重ねて補償を受けたりできるわけではありません。欠陥の程度、修補の可否、契約条項などを踏まえ、請求内容を整理します。

参考:民法415条・416条・541条〜543条・562条〜564条

通知期限と消滅時効は別に確認します

原則として、不適合を知ってから1年以内に通知

種類又は品質の契約不適合については、原則として、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。通知をしないと、その不適合を理由とする追完・代金減額・損害賠償・解除ができなくなります。ただし、売主が引渡し時に不適合を知っていた場合や、重大な過失により知らなかった場合は、この通知制限の例外となります。

不具合の内容や範囲、発見時期を具体的に示し、通知内容と相手への到達を確認できる形で記録を残すことが大切です。民法566条の1年は、原則として通知の期限であり、その期間内に必ず訴訟を起こすという意味ではありません。

通知をしても、請求権の時効には注意が必要です

債権の消滅時効は、原則として、権利を行使できることを知った時から5年、又は権利を行使できる時から10年のいずれか早い時に完成します。起算点や時効の完成猶予・更新は、請求の内容や経緯により検討が必要です。

不適合を通知しただけで、時効が自動的に更新されるわけではありません。請求としての催告に当たる場合でも、完成猶予は原則として6か月であり、その間の再催告だけで延長はできません。交渉が続いている場合も、期限を別に管理する必要があります。

参考:民法147条・150条・152条・166条・566条

新築住宅の基本構造部分には10年間の責任の特例があります

住宅品質確保法95条は、新築住宅の売主について、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に関し、10年間の責任を定めています。構造耐力又は雨水の浸入に影響しない不具合は、この特例の対象から除かれます。買主に不利となる特約でこの責任を短縮することはできません。

起算点は原則として買主への引渡し時ですが、請負人から売主に引き渡された新築住宅では、その引渡し時から数える場合があります。また、法律上の「新築住宅」は、新たに建設され、まだ居住に使用されておらず、建設工事の完了から1年を経過していない住宅です。

「新築住宅なら、設備を含めてあらゆる不具合が10年間保証される」という意味ではありません。特例の対象かどうかに加え、不具合を知った後の通知や請求の期限も確認します。保険付保証明書などがある場合は、その内容も確認してください。

参考:住宅品質確保法2条・95条

参考:国土交通省:住宅瑕疵担保履行法のQ&A

免責・期間短縮の特約は、そのまま有効とは限りません

売買契約には、契約不適合責任の期間や免責を定めた条項が含まれることがあります。まず契約条項を確認し、当事者の属性や特別法による制限を検討します。

宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅地建物取引業者でない場合、宅地建物取引業法40条により、種類・品質の不適合を担保する責任について、民法566条より買主に不利な特約は制限されます。ただし、同条の期間について引渡しから2年以上とする特約には例外が認められます。これに反する特約は無効です。

この「2年」は、すべての不動産売買に一律に適用される責任期間ではありません。新築住宅の基本構造部分には前述の特例があり、事業者と消費者との契約では消費者契約法による検討も必要です。また、免責特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実などについては民法572条の制限があります。

参考:宅地建物取引業法40条・78条2項

参考:民法572条

参考:消費者契約法

欠陥が見つかった場合の進め方

  1. 契約と保証の資料を確認する:売買契約書、重要事項説明書、図面、仕様書、物件状況の告知、保証書などを整理します。
  2. 不具合を記録する:写真・動画、発見日、症状の変化、売主とのやり取りを保存します。
  3. 売主へ具体的に通知する:通知内容と到達が分かる記録を残し、期限を確認します。
  4. 原因と修補方法を調べる:必要に応じて建築士等の専門家による調査を検討します。
  5. 請求と解決方法を整理する:修補、代金減額、損害賠償、解除などの要件と、交渉・手続きを検討します。

修理によって原因の確認が難しくなることがあります。安全確保や被害拡大の防止が必要な場合はそれを優先し、可能な範囲で修理前の状態や費用を記録してください。

相談前に整理すると役立つ資料

  • 契約書、重要事項説明書、特約、更新・変更の合意
  • 登記事項証明書、図面、仕様書、物件の資料
  • 不具合や入退去時の写真、調査報告、見積り
  • 支払履歴、通知、相手方とのやり取り

経緯、希望する解決、相手方の主張を日付順にまとめると、争点を整理しやすくなります。資料がすべてそろう前でもご相談ください。裁判所や契約上の期限がある場合は、その書類と日付を先にお知らせください。

よくあるご質問

現状有姿と書いてあれば売主に請求できませんか。

条項の内容、合意した状態、売主の属性、説明や認識を確認します。文言だけで一律に結論は決まりません。

中古住宅にも品確法の10年責任がありますか。

新築住宅を対象とする特則と中古住宅の売買責任は区別します。保証や保険の有無も別に確認します。

資料が全部そろっていなくても相談できますか。

お手元の資料と経緯から、不足する情報と次の対応を整理します。期限が迫る書類がある場合は、その日付を先にお知らせください。

話し合い中なら請求期限は止まりますか。

話し合いだけで当然に止まるわけではありません。請求の種類、起算点、時効の猶予・更新等の要件を確認します。

根拠法令・公的資料

法令・制度の確認日:2026年10月11日。契約・相続・事故・訴訟の時期や経過措置、具体的な事情により適用が異なります。

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